成猫と子猫ではかかりやすい病気や受診すべき症状が異なります。しかし子猫との生活が初めてだと、病気のサインを見逃して「いつのまにか深刻な状態になっていた」なんて自体にもなりかねません。

免疫が不十分な子猫は病気になりやすいものです。どのような病気でどんな症状になるのか知っておくことが、いざというときに愛猫を守るでしょう。

そこで今回は子猫が注意すべき病気や、受診した方がいい症状についてまとめました。子猫の様子が気になるときや健康管理を考える参考にしてください。
1.子猫は病気にかかりやすい 子猫は免疫が不十分で抵抗力も弱く、ちょっとした環境の変化や感染症で体調が大きく崩れ、重症化しやすい傾向があります。特に保護猫は、受け入れた段階ですでに病気を抱えているケースも多く見られます。生活を始める前に、身体検査と併せて糞便検査や血液検査まで行っておくといいでしょう。子猫と暮らすときは定期的な健康診断とワクチン接種、寄生虫予防はもちろん、飼い主さん自身が症状にいち早く気づけるように基礎知識を身に着け、毎日健康観察をすることが重要です。ちょっと眠いだけ、お腹が緩いだけ、ただの鼻水だから…なんて人間の基準で軽視していたら、深刻な病気を進行させてしまうかも知れません。小さな愛猫のために子猫の病気のことをしっかりと勉強しておきましょう。 2.子猫がかかりやすい病気 まずは子猫が気をつけるべき病気を把握しましょう。子猫がかかりやすい代表的な病気を8つご紹介します。 低血糖 生後間もない子猫は糖分を体内に備蓄できないため、ミルクを飲む時間が3~4時間空くだけで命にかかわるほどの低血糖症になることがあります。ぐったりしたり痙攣を起こしたりした際は、低血糖の疑いがあるためすぐに受診しましょう。 脱水症 水分の摂取量が少なかったり、下痢で体内の水分が多く失われたりすると、脱水症になります。脱水のときは、皮膚を引っ張ったあと皮膚が元に戻るまで時間がかかる、歯茎や口の粘膜が粘つく・乾いている、反応が鈍いなどの症状が表れます。 猫風邪(上部呼吸器感染症) 猫風邪は感染猫との接触で感染し、鼻水や咳、発熱、結膜炎、口内炎などの症状が出ます。悪化すると肺炎や食事もとれない痛みがでるケースも。黄色い目ヤニが出るのが特徴で、一度感染すると体内にウイルスを保持し続けるため、体力が落ちたときに再発する場合もあります。 猫エイズ 猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染すると、免疫力が徐々に低下していきます。感染初期は口内炎や発熱など比較的軽度の症状です。しかし後天的免疫不全症候群(AID)、つまりエイズを発症すると死に至りかねません。母子感染や交尾時の感染の他、免疫不全ウイルスを持つ猫による咬傷で感染するケースもあり、同居猫と隔離する必要があります。 ノミ・耳ダニ 子猫はノミや耳ダニなどの外部寄生虫に感染しやすく、体が小さいため成猫よりも大きなダメージを受けてしまいます。ノミが大量に付いて貧血を起こすケースもあるでしょう。同居ペットとは隔離し、感染を広げないことが大切です。 回虫 回虫とは消化器官内に寄生する内部寄生虫の1つです。感染した猫の便からでた幼虫が土やミミズ、ネズミなどを介して猫の口に入ることで感染します。嘔吐、下痢、脱水、被毛不良、栄養失調などの症状が出やすく体力を奪われます。免疫が弱い人間に移す可能性もあるため、注意が必要です。 皮膚病(皮膚真菌症) 子猫の皮膚病で気を付けたいのは、真菌(カビ)に感染して起こる皮膚炎です。皮膚真菌症といい、免疫力が弱いと感染しやすくなります。脱毛、かさぶたやフケ、かゆみがみられます。主に感染した猫との接触で感染し、人間にも感染する人畜共通感染症です。 FIP(猫伝染性腹膜炎) FIPとはネココロナウイルスが突然変異した変異型FIPウイルスで、1歳前後の子猫が発症するケースが多くみられます。発見が難しく進行が非常に速いため、1週間前後で死に至るという痛ましい感染症です。食欲が落ちて元気がなくなり、みるみる弱っていく病気です。 3.子猫のこんな症状は病気のサイン 子猫が病気にかかったときは、すぐに受診し適切な処置をすることが大切です。子猫にこのような様子がみられたら病気のサインかもしれません。軽視せずになるべく早く受診しましょう。 食欲不振 食欲不振とは、いつもより食べる量が減った、もしくは食事をまったく摂らなくなる状態を指します。通常、健康な猫の食事量は一定です。フードの変更や環境の変化など、原因が思い当たらない場合は病気の可能性が高いでしょう。 あきらかに元気がない 子猫がぐったりしている状態も要注意です。「いつもより大人しいな」と思っていたら、実は体調が悪かったというケースが多くあります。体力の少ない子猫は、病気になると一気に重症化するため「元気がない」と感じたら、早めに受診しましょう。 下痢が2~3回続く 下痢が何度も続く場合は、ウイルス性の病気や内部寄生虫、誤飲、胃腸炎などの可能性があります。ストレスやフードの変化で子猫が下痢をすることはよくありますが、2~3回以上続くようなら病気を疑いましょう。 嘔吐が続く 子猫の嘔吐は、問題がない場合と病気のサインに分かれます。グルーミングで飲み込んだ毛玉を吐いたり食べ過ぎたりしたことが原因であれば問題ありません。しかし嘔吐が何度も続き、元気がないようなら胃腸炎、感染症、誤飲による中毒などが考えられます。 発熱(39.5度以上の熱) 子猫の平熱は38~39度前半なので、39.5度以上の熱がある場合は発熱です。足や耳の熱っぽさで発熱に気づく人も多いでしょう。子猫の発熱は感染症や寄生虫、中毒、悪性腫瘍、熱中症などを示す症状の1つです。 目ヤニが多い 目ヤニがたくさん出ているようなら、感染症や異物混入、角膜損傷などかもしれません。または以前の猫風邪のウイルスが体内に残っていることで再発した場合もあります。自然治癒は難しいのでなるべく早く受診しましょう。 咳・鼻水・くしゃみ 人間と同じように咳や鼻水、くしゃみは感染症による体調不良のサインです。猫風邪に多く見られる症状で、ウイルスによっては口内炎を併発することもあります。口内炎の痛みや鼻づまりで食欲不振になるケースもあります。 目の充血 目や目の周りが赤くなっているなどの症状は、異物混入や外傷、アレルギー、結膜炎、角膜炎、目の周囲の腫瘍、感染症のサインです。重症化すると視力に悪影響を及ぼす可能性もあるため、早めの受診が欠かせません。 脱毛 子猫の脱毛は皮膚トラブルです。かゆみやかさぶたなど皮膚の異常が伴うならノミ・ダニや真菌真菌症、皮膚炎が疑われます。真菌症では、脱毛が円形に広がっていくリングワームが見られるでしょう。皮膚に問題がない場合は、ホルモン疾患や心因性脱毛、換毛期の可能性があります。 4.子猫が病気になったときの対処法 子猫の様子がおかしいと感じた場合は、早めにかかりつけ医を受診することが最善の対処法です。子猫の病気はあっというまに重症化します。「大したことなさそう」と自己判断せずに、はやめに病院で診察を受けましょう。「病気かもしれない」と感じたら、診断・治療に役立てるように以下の内容を記録しておきましょう。
  • 嘔吐物の内容
  • 便の様子
  • 食べたもの、食べた時間、食欲の程度
  • いつからの症状か
また、飼い主や同居猫に感染する病気も少なくありません。感染を防ぐには、嘔吐物や便はすぐに片づけて消毒することが重要です。免疫が弱い家族や同居猫は隔離するといった対策も取るといいでしょう。 5.まとめ 免疫力や抵抗力が低い子猫は、成猫よりも病気にかかりやすく早く重症化するリスクがあります。特に授乳期は少しミルクの間隔があくだけで低血糖や脱水になります。また猫風邪や皮膚炎、ウイルス性の疾患、回虫などの内部寄生虫といった感染症にもかかりやすいのでワクチン接種や検診を受けて予防しましょう。くしゃみ鼻水、食欲不振や目やになど、ちょっとした変化でも子猫ではりっぱな病気のサインです。早めに受診し、病院で処置してもらいましょう。
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