愛犬が頻繁に耳を掻いたり、頭を振ったりする姿を見ると心配になりますよね。犬の耳のかゆみは、外耳炎をはじめとする様々な原因によって引き起こされ、放置すると症状が悪化する可能性があります。

この記事では、犬が耳をかゆがる原因から自宅でできるケア方法、動物病院を受診すべきタイミングまで、飼い主さんが知っておきたい情報を分かりやすく解説します。
1.犬が耳をかゆがるのはなぜ?主な原因を解説 犬の耳は構造上、通気性が悪く湿気や汚れがたまりやすいため、トラブルが起きやすい部位です。特に垂れ耳の犬種では、耳の中の湿度が高くなりやすく、細菌や真菌が繁殖しやすい環境になっています。耳をかゆがる最も一般的な原因は「外耳炎」です。外耳炎とは、耳介(耳のひらひらした部分)や耳道(耳の穴から鼓膜まで)に起こる炎症の総称で、その原因は多岐にわたります。 外耳炎の主な原因 細菌や真菌による外耳炎 湿気の多い環境で細菌やマラセチア(真菌の一種)が異常に繁殖することで発症します。健康な犬の耳にも常在していますが、耳の環境が悪化すると過剰に増殖し、炎症を引き起こします。 寄生虫による外耳炎(耳ダニ感染症) ミミヒゼンダニという寄生虫が耳道に寄生することで起こる外耳炎です。強烈なかゆみを伴い、黒褐色でカサカサした特徴的な耳垢が大量に出ます。子犬や免疫力の低下した犬に多く見られ、他の犬や猫から感染することもあります。 アレルギーによる外耳炎 食物アレルギーが原因で耳に炎症が起こることがあります。また、花粉やハウスダストなどの環境アレルゲンよって引き起こされるアトピー性皮膚炎の症状の一つとして、耳に炎症が現れることもあります。アレルギー体質の犬では、全身の皮膚症状の一部として耳にも症状が現れやすく、慢性化しやすいのが特徴です。 その他の原因 異物の混入(草の実や砂など)、腫瘍、ホルモンの異常なども外耳炎を引き起こす要因となります。また、過度な耳洗浄や不適切なケアも耳道を傷つけ、炎症の原因になることがあります。これらの原因による外耳炎は、放置すると中耳炎へと進行したり、慢性化して治療が困難になったりするリスクがあります。早期に適切な診断と治療を受けることが、愛犬の健康を守るために重要です。 2.耳をかゆがるときに見られる症状のサイン 愛犬の耳のトラブルを早期に発見するためには、日頃から行動や耳の状態を観察することが大切です。以下のようなサインが見られたら、耳に何らかの問題が起きている可能性があります。 行動面でのサイン
  • 後ろ脚で頻繁に耳を掻く:通常の毛づくろいを超えて、執拗に掻き続ける
  • 頭を左右に激しく振る:耳の違和感を取り除こうとする行動
  • 床や壁、家具に耳をこすりつける:かゆみを和らげようとする行動
  • 耳を触られるのを嫌がる:痛みや不快感がある証拠
  • 傾げた頭の姿勢を続ける:片側の耳に問題がある場合に多い   
耳の見た目や状態の変化 耳の状態チェックリスト
チェック項目 正常な状態 注意が必要な状態
耳の中の色 薄いピンク色 赤い、腫れている
耳垢の量 少量で薄茶色 大量、黒褐色、黄緑色
におい ほぼ無臭 酸っぱい臭い、腐敗臭
分泌物 なし 膿のような分泌物
耳の周囲 清潔 掻き傷、脱毛、かさぶた
特に注意すべきなのは、黒くてカサカサした大量の耳垢です。これは耳ダニによる外耳炎の典型的な症状で、コーヒーかすのような見た目が特徴です。また、強い悪臭を伴う黄緑色の分泌物は、細菌感染による化膿性外耳炎の可能性があります。
これらの症状は、外耳炎の進行度や原因によって現れ方が異なります。初期段階では軽いかゆみや耳垢の増加程度ですが、進行すると痛みを伴い、食欲不振や元気消失といった全身症状が現れることもあります。
少しでも気になる症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。症状が急激に悪化している場合は、できるだけ早い受診をおすすめします。 3.自宅でできる耳のケア方法 日常的な耳のケアは、外耳炎の予防と早期発見につながります。ただし、すでに炎症や出血がある場合は、自己判断でケアを行わず、必ず動物病院を受診してください。 基本的な耳洗浄の手順 1.犬用イヤークリーナーを準備 市販の犬用イヤークリーナーを使用します。人間用の製品は刺激が強すぎるため避けましょう。 2.耳にクリーナーを入れる 製品の使用方法に従って、適量のクリーナーを耳に入れます。多くの製品では、耳道を満たすように十分な量を使用することが推奨されています。 3.耳の付け根をマッサージ クリーナーを入れた後、耳の付け根を優しくマッサージして汚れを浮かせます。 4.汚れを拭き取る コットンやガーゼで、耳の入り口付近の汚れを優しく拭き取ります。綿棒の使用は耳道を傷つける恐れがあるため避けてください。 5.しっかり乾燥させる 最後に乾いたコットンで水分を取り除きます。 日常生活での予防ポイント
  • シャンプー後の乾燥:入浴後は耳の中の水分をしっかり拭き取り、乾かす
  • 耳毛の多い犬種(プードル、マルチーズなど):耳毛の処理については獣医師の指示に従いましょう
  • 環境の管理:高温多湿を避け、清潔な環境を保つ
  • 定期的な観察:週に1~2回は耳の状態をチェックする習慣をつける
耳洗浄を行う際の注意点 耳洗浄の適切な頻度は、愛犬の耳の状態によって異なります。健康な耳であれば洗浄は必要ありません。軽度の汚れがある場合は月1~2回程度、外耳炎の予防が必要な場合は獣医師と相談して適切な頻度を決めることが大切です。耳洗浄をする際は、愛犬がリラックスできる環境で行うことが大切です。おやつを与えながら少しずつ慣れさせ、耳のケアが嫌な経験にならないよう配慮しましょう。なお、垂れ耳の犬種は通気性が悪く耳のトラブルが起きやすいため、より注意深い観察が必要です。また、耳毛が多い犬種の場合、耳毛の処理については獣医師の指示に従いましょう。 4.動物病院での診断と治療 耳のかゆみが続いたり、悪臭や出血などの症状がある場合は、自己判断での対処は避け、速やかに動物病院を受診することが重要です。適切な診断と治療により、症状の改善と再発予防が期待できます。動物病院では、以下のような方法で耳の状態を詳しく調べ、原因を特定します。
  • 視診・触診:耳の外観や腫れ、痛みの有無を確認
  • 耳鏡検査:専用の器具で耳道内を観察し、炎症の程度や異物の有無を確認
  • 耳垢検査:顕微鏡で耳垢を観察し、細菌、真菌、寄生虫の有無を確認
  • 細菌培養検査:必要に応じて、原因菌を特定し適切な薬剤を選択
治療が困難な外耳炎になる前に、早期発見・早期治療を心がけることが何より大切です。普段と違う様子が見られたら、迷わず動物病院に相談しましょう。 5.まとめ 犬が耳をかゆがる原因の多くは外耳炎によるもので、細菌・真菌の繁殖、耳ダニの寄生、アレルギーなど様々な要因で引き起こされます。頻繁に耳を掻く、頭を振る、耳垢の増加、悪臭などのサインが見られたら、早めに動物病院を受診することが大切です。
日常的なケアとしては、月1~2回程度の適切な耳洗浄と、シャンプー後の乾燥を心がけましょう。ただし、過度な耳洗浄は逆効果となるため、見える範囲を優しくケアする程度にとどめることがポイントです。
すでに炎症がある場合は自己判断でのケアは避け、獣医師の診断を受けて適切な治療を行うことで、慢性化を防ぎ、愛犬の快適な生活を守ることができます。普段から愛犬の様子をよく観察し、異変に早く気づけるようにしておくことが、健康管理の第一歩となります。
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