愛犬が男の子だった場合、飼い主が決断を迫られることの一つに「去勢をどうするか」があげられます。愛犬の健康を考えた際、できるだけ自然な状態のまま育てたいと考えるのは当然ですが、去勢しないとどうなるのか気になる方も多いはずです。

愛犬の去勢は、一生に関わる重要な選択のため、飼い主としては十分に情報収集をしてから判断したいところです。 この記事では、愛犬の去勢について、メリット・デメリットを丁寧に解説します。
1.犬は去勢しないとどうなるのか 小型犬で約7ヶ月、大型犬で約12ヶ月以上が経過すると、犬のオスは性成熟を迎えます。この頃からオスの性質が強まり、次のような行動をとるようになると考えられています。
  • マーキング(できるだけ足を上げておしっこをするなど)
  • マウンティング(他の人や犬などに前足で抱き着き腰を振る行為)
  • 攻撃行動(噛む、うなるなど)
犬の精巣は男性ホルモンを生成しており、これがオスの性質が強まる一因と考えられています。もちろん、厳しい自然界で生きていくためには重要な性質ですが、人間社会で問題行動を起こすとトラブルを招く可能性があり、それを防ぐために去勢手術を行う飼い主は多く見られます。去勢手術は、体調に問題がなければ日帰りすることも可能です。 ただし、愛犬が健康であっても身体にメスを入れることには変わりなく、その点を不安に感じて去勢すべきかどうか悩む飼い主も一定数存在しているのが現実です。 2.愛犬を去勢するメリット 愛犬の去勢をするメリットとしては、次のようなものがあげられます。 発情ストレスの低減 愛犬を去勢すると、発情にともなう様々なストレスの低減が期待できます。去勢していないオスはメスを求める気持ちが強く、メスに出会うために家から脱走してしまう子もいるほどです。飼い主がいない状況で愛犬が街中に出てしまうと、交通事故や物損事故だけでなく、他人にケガをさせるリスクもあります。しかし、去勢してしまえばメスへの衝動はなくなるため、結果的に愛犬のストレス低減につながるだけでなく、問題行動による事故のリスクも減らせます。 病気の予防 去勢手術をすると、オスの生殖器に関連する様々な病気を予防することにつながります。犬種によっては、去勢していないとかかりやすい病気もあることから、獣医師に相談してリスクが高いと判断された場合は去勢手術を受けた方が安心です。 望まない妊娠のリスクを避けられる たくさんの犬を飼っている場合や、散歩や旅行で外に出る機会が多い場合などは、避妊手術を済ませていないメスとの出会いが望まない妊娠につながることもあります。しかし、オスの愛犬が去勢していれば、万一コンタクトがあっても妊娠することはありません。愛犬とお出かけする機会が多く、ドッグランをよく使用する場合などは、特に注意が必要です。 3.愛犬を去勢するデメリット 愛犬の去勢にともなうデメリットとしては、次のようなものがあげられます。 愛犬の子孫を残せない 愛犬が子供を残せなくなる身体になる去勢手術は、一度行ってしまうと取り返しがつきません。例えば、愛犬が希少な血統を受け継いでいる場合は、その点が将来的にデメリットとなる可能性があります。 ドッグショーに参加できない 去勢してしまうと、ドッグショーに参加できないケースが一般的です。ドッグショーは繁殖を想定して犬を評価する場であり、去勢や避妊手術をした時点で出場の対象外となるため注意しましょう。 食欲が増進する可能性がある 去勢後は生殖のためのエネルギーを消費しなくなり、それだけエネルギー消費量が落ちてしまうことが予想されます。その一方で、食欲が増進する子もいるため、結果的に太りやすくなる恐れがあります。 手術には全身麻酔が必要 動物病院では、愛犬が安全に去勢できるよう細心の注意を払って手術を行います。しかし、全身麻酔によって重篤な副反応が起こるリスクもあるため、手術前に獣医師としっかり相談した上で決断しましょう。 4.愛犬を去勢しないとどうなるのか迷ったら 愛犬の去勢が必要かどうか迷ったら、まずは「男の子特有の病気」の予防という観点から、手術を検討してみましょう。去勢手術を受けると、次のような病気の予防につながると考えられています。
  • 精巣腫瘍
  • 前立腺肥大
  • 肛門周囲腺腫
  • 会陰ヘルニア など
加えて、次の点についても検討が必要です。
  • 犬種や性格(去勢しなくても飼い主がコントロールできるかどうか)
  • 食事や運動の管理(肥満を防ぐ散歩・運動時間を確保できるかどうか)
  • コスト(手術代やその後の医療費を支払えるかどうか)
これらの点を獣医師と一緒に十分に検討した上で、一生面倒を見るためには去勢が必要だと判断できたら、手術に向けて準備を進めましょう。 5.まとめ 愛犬が男の子の場合、性成熟を迎えるとマーキングやマウンティングなどの行動をとりやすくなるほか、攻撃的になる可能性もあります。人間と一緒に生活する上で、これらの行動は予期せぬトラブルを引き起こす恐れがあるため、不安であれば去勢手術を受けさせるのも一手です。発情のストレスを低減するだけでなく、生殖器関連の病気を予防することにもつながるため、ドッグショーへの参加等を予定していないのであれば検討してみましょう。ただし、一度手術を受けてしまうと後戻りできないため、愛犬の性格や生活面での管理も十分考慮した上で判断してください。
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